自己破産は自分だけで出来る?弁護士に依頼すべき?
【質問】
「自己破産は自分でもできますか?」
借金が増えすぎたため自己破産を検討していますが、弁護士に依頼するお金もありません。そのため、自分で自己破産を申立てたいと思っています。そこで質問ですが、専門知識のない素人でもできるものでしょうか?やはり、弁護士に依頼した方が間違いないでしょうか?
【回答】
自分で申立てることは可能だが簡単ではない
自己破産を考えているが、弁護士など専門家に手続きを依頼せずに自分でできないかとお考えになっているのですね。自己破産をお考えになるほどの状況ですから、弁護士費用などを考えると躊躇してしまう方も多いようです。
手続き自体は個人でも決して不可能ではないのですが、相当な手間と時間がかかってしまうのは覚悟しなければなりません。
実際のところ、自分でやってみたいという方は結構多くいらっしゃるのですが、結局9割ほどは専門家に依頼されることになるといわれています。
それほどの手間だということですが、今回は自己破産を自分でやるとしたらどんなことをやらなければならないのか見ていきましょう。
複数の書類を準備するのが大変
手続きを行う裁判所によって進行過程は若干異なりますが、基本的には手続きに必要な書類群を自分で用意・作成して提出することになります。
ザックリと必要になる物の大枠としては、自己破産の申立書と陳述書、添付書類が必要になります。
添付書類には戸籍謄本など役所からそのまま取れば良いものだけでなく、各債権者と借金の額の説明書、過払い金の計算書など「作る」必要があるものもあります。
まずは申立書を入手する
まず何より必要な自己破産の申立書ですが、お住まいの地域を管轄する裁判所へ出向いて入手します。事前に電話を入れておけば担当者などと意思の疎通がしやすくなります。
裁判所によっては申立書をすぐにくれるところもありますが、簡単な事情を聞かれたり、あるいは自己破産手続きについてのビデオを見させられることもあるようです。長いと入手まで1時間ほどかかることもあります。
とにもかくにも申立書を手に入れたら、そこには他に用意する必要のある陳述書や添付書類についての説明なども入っていると思います。
自己破産申立書は「自己破産を認めてほしい旨」の記載がすでにある書面に、氏名、住所、電話番号などを記入するだけなので特に問題ありません。
面倒なのはそれ以外の書類です。
まずは陳述書について見ていきましょう。
陳述書とは?
陳述書に記載する必要のある事項としては、申立て者本人や家族の細かな生活状況や健康面での実情の他、あなたが借金を膨らませていった経緯を細かく記載する必要があります。
どういった事情で借金を始め、それが弁済できないほどになるまでどうして膨らんでしまったのか、という事情説明を行います。あなたの借金苦の歴史を自分で文字に書き起こす作業になるので精神的に非常につらい作業になるでしょう。
とにかく自己破産を認める権限のある裁判官に事情を分かってもらうために詳しく説明する必要があります。
この中で、例えば借金の理由が配偶者の看病のためなど情状の余地がある事情があれば裁判官の心証は良くなる方向に働きます。
自己破産申立書と陳述書が用意できたら、次に添付書類です。
内容を証明する添付書類
添付書類というのは自己破産申立書や陳述書にあなたが記載した内容が、間違いなく本当のことだということを証明するためのものです。この証明が無いと陳述書にはいくらでもウソが書けるし、氏名も住所もウソでないことを証明できません。
ではどんな添付書類が必要なのか見ていきます
自己破産申立書の添付書類
戸籍謄本
本籍地のある市役所で入手します。
住民票原本
本籍地と世帯員全員の記載があるものを市役所で入手します。
債権者一覧表
あなたが借り入れをしている債権者とそこからの借入額を記入した一覧表を自分で作成します。
陳述書の添付書類
- 申立人の給与明細と源泉徴収票
- 申立人の課税証明書
- 生活保護や年金の受給証明書
- 以前の勤め先の給与明細書
- 現住居の賃貸借契約書や使用許可証
- 同居人の給与明細書・源泉徴収票
- 生命保険の解約返戻金の証明書
- 有価証券の価値を証する書類
- 過払い金がある場合はその計算書
- 車検証のコピーと査定書など車両の価値が分かる資料
- その他現在の所有財産が分かるもの
などです。
また、予納金や切手代などで実費として2万円~3万円ほどの費用も必要になります。
裁判所によってはこれら以外の添付書類を求めることもありますし、それぞれの借金を取り巻く状況によって、人によって必要になる書類群は異なりますので裁判所の指示に従って下さい。
弁護士に依頼した方が良い?メリットは?
上述した書類群を自分で用意・準備することはなかなかの手間です。
過払い金の計算書などは、計算の前に実際に各社にどれだけの過払い金請求権があるのかを知るために、金融各社に連絡してその証明を受ける必要があります。
個人相手には金融業者はなかなか重い腰を上げてくれないので無視される可能性もありますから、十分な余裕を持って請求する必要があります。
こういった手間も弁護士ならば全て行ってくれますし、裁判所に対する説明では納得性の高い、自己破産の必要性を効果的に訴える文章にしてくれますから素人が考える文面よりも当然効果が高く、自己破産が認められる可能性を引き上げてくれるでしょう。
弁護士費用は意外と高く20万円から40万円ほどかかります。この費用が捻出できない場合は法テラスを活用すると良いでしょう。
弁護士費用を立て替えてくれるので、まずは自己破産を行って、自由な身になったら働いて稼いだお金で後払いで清算することもできます。
法テラスに関する詳しい記事はこちら
■弁護士費用を立て替えてくれる「法テラス」とは?