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自己破産における管財事件とは?

自己破産における管財事件とは?

債務者が裁判所に自己破産の申立てを行うことを、法的には「破産手続開始の申立て」といいます。

ここでいう「破産手続」とは、破産管財人が選任されて、債務者が持っているさまざまな種類の資産をお金に換えて(換価)、集めたお金を債権者に配分する、という一連の作業を指します。

このような手続で進められる破産事件のことを「破産管財事件」といい、これが破産事件の原則的な形式となっています。

しかし、個人の債務者ですと、債務者自身がこの破産管財の手続費用(管財人報酬など)を出せるほど資産を持っていないことが多いため、そのような場合には破産手続開始の決定が出るのと同時に破産手続廃止の決定が出されます。このような事件のことを、「同時廃止(同廃)事件」といいます。

今回は管財事件がどのような手続きなのかについて詳しく解説していきます。

管財事件になるのはどんな場合?

個人の債務者であっても、以下に述べるような事情がある場合には、同廃事件ではなく管財事件として扱われます。カッコ内は、破産法に正式な用語として定められているわけではありませんが、管財事件の類型として一般的な呼び名の一例を挙げています。

一定の財産を有している場合(財産換価型)

債務者が破産申立後も持ちつづけることができると定められている財産は、現金99万円に加え、預貯金や保険(解約返戻金)、自動車など、それぞれの価値が20万円以下であるものだけに限られます。

これを「自由財産」といいますが、債務者がこの自由財産の範囲を超える多額の財産を持っている場合には、破産管財人によって換価・回収され、債権者に対する配当の原資となります。

債務者の資産を調査する必要がある場合(財産調査型)

債務者が会社の代表者や個人事業主であるとか、不動産を所有しているとか、債権者数や負債総額が多いとかといった一定の場合には、破産管財人を選任して債務者の資産・負債等を調査することとなっています。

取り返せる財産がある場合(偏ぱ弁済型・不当利得型)

債務者が、破産申立ての直前に特定の債権者だけに返済(偏ぱ弁済)していた場合には、債権者間の平等が害されるので、その弁済をなかったことにする(否認)必要があります。

また、消費者金融等に対して過払金が発生している場合には、その過払金を回収する必要があります。これらのような事情があるときには、破産管財人がそのような金銭を交渉や訴訟によって取り返し、債権者に対する配当原資に加えます。

免責不許可事由がある場合(免責調査型)

債務者が浪費やギャンブルで借金を作ったとか、過去7年以内に破産して免責許可決定を得ているとかいう事情があると、債務者の免責(借金の棒引き)が許可されない原因になってしまいます。

そのような事情のある債務者が破産申立てを行った場合には、破産管財人がこの債務者の事情をよく調査し、免責を許可していいかどうかの意見を裁判所に対して述べることとなっています。

複数の類型が該当する場合も

個人の管財事件では、免責調査型のものが一番多いとされています。また、それぞれの管財事件がこれらの類型のうちひとつだけに該当するわけではなく、複数の事情が重なって管財事件となっているものもあります。

例えば、浪費によって借金を重ねた結果として消費者金融に対して過払金が発生している(免責調査+不当利得型)とか、個人事業主である債務者が破産申立ての直前に親戚にだけ借金を返した(財産調査+偏ぱ弁済型)とかというように、その組み合わせはいろいろと考えられます。

管財事件の流れ

まずは簡単に管財事件の流れを見てもらいましょう。

①予納金の納付
 └破産手続開始決定

②換価回収の実施と報告
 └審尋
 └債権者集会

③債権者への弁済、配当
 └破産手続終了
④免責調査

免責許可

それでは、各項目の内容を詳しく解説していきます。

①予納金の納付から破産手続開始決定まで

破産法では、債務者が裁判所に対して予納金を納付したあと、裁判所が破産手続開始の決定を出すこととなっています。

管財事件では、裁判所から破産管財人が選任され、財産の調査・換価から債権者への配当までの作業を行うため、裁判所に支払う予納金の額は同廃事件よりも大幅に多額となります。

予納金の額は管轄の地方裁判所や債務総額によって違いがありますが、同廃事件では数万円なのに対して、管財事件では最低でも20~50万円程度は納付しなければなりません。

最初から管財事件になるとわかって破産を申し立てた場合には、あらかじめ予納金が準備できているのが普通ですが、同廃事件のつもりで破産を申し立てたのに裁判所が管財事件として扱うと決めた場合には、債務者が自分の財産や収入のなかから予想外の金額を捻出しなければならないため、破産手続の開始が遅れる原因にもなります。

②換価回収の実施と報告

破産手続開始の決定が出されると、破産管財人は、債務者(破産申立てを弁護士に依頼した場合には弁護士も)と面談して、破産に至った経緯や資産・負債についての事情聴取(審尋)を行います。

この事情聴取によって破産管財人は事件の方向性について見立てをつけ、先ほど述べた管財事件の各類型に従って、財産を調査・換価したり、偏頗弁済や不当利得の返還を求めたり、といった配当原資の形成に着手します。

この間、破産管財人はおおむね二、三か月ごとに債権者集会を開き、債務者の資産や負債の状況について債権者に対して報告します。

③債権者への弁済、配当から破産手続終了まで

債務者の財産をすべて換価し終えたら、破産管財人は債権者に対する支払いを行います。

租税公課や労働債権など、破産法で定められた一部の債権には優先して弁済されますが、それを弁済してもなお配当原資が残っている場合には、貸金債権や売掛金債権などを有する一般の債権者に対して、その債権額に応じて割合的に平等に配当がされます。

配当を実施したことで破産管財人の任務は終了し、破産手続終結決定が出されます。なお、配当原資が不足して一般の債権者への配当ができなかった場合には、この時点で破産手続廃止決定が出されます。これを「同時廃止」に対して「異時廃止」といいます。

④免責調査

換価回収から配当までの作業と並行して、破産管財人は、債務者に対する免責調査を行い、免責を許可してよいかどうかの意見書を作成して裁判所に提出します。

もし債務者に免責不許可事由があったとしても、それだけで自動的に免責不許可となるわけではありません。むしろ、裁判所が債務者の事情を汲んで、裁量によって免責を許可することがほとんどです。

例えば、免責不許可事由が軽微なものであるとか、免責不許可事由となるような行為に出たことを十分に反省しているとか、債務者本人が調査に誠実に協力したとかいう事情があれば、裁量免責が認められる要素となります。

逆に、債務者が破産管財人の調査に対してウソをついたとか、浪費やギャンブルなどの程度がひどすぎるとかいうよほど悪質な事情があると、免責は不許可となってしまいます。なお、破産申立てをした個人の債務者のうち免責不許可となる人は1パーセントにも満たないのが実情です。

免責までの期間

同廃事件の場合は、破産申立てを行ったあと、裁判所での審尋を経て、破産手続開始・廃止の決定が出されます。

その後、1か月程度の期間を設けて債権者から免責に関する意見を聞き(特段意見が出されない場合が多い)、免責許可決定(または免責不許可決定)が出されます。各地の裁判所の運用には差がありますが、申立てから免責決定まではおおむね3か月以上を要するようです。

これに対して、管財事件においては、資産の換価や負債の調査、債権者への配当手続に時間がかかるため、破産手続の開始から終了までの期間は最短でも3か月から半年程度であり、1年を超える管財事件も少なくありません

この期間中のどのタイミングで免責調査や審尋等を行うかは各地の裁判所での運用に差がありますが、どんなに遅くとも、破産事件終了の時期には、それと前後して免責決定が出されます。

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