よくわかる自己破産ガイド

借金で悩んでいる方のために自己破産を中心に、その他の債務整理についてもわかりやすく解説するサイトです。

自己破産を検討する基準について

債務整理の最後にして最強の手段である「自己破産」。他の法的整理や任意整理の手続に比べて効果は絶大ですが、そのぶん副作用も大きく、なかなか軽々しく利用できる手続ではないといえます。それでも自己破産を選ばざるを得ないのはどんな場合かについて考えてみましょう。

自己破産を申し立てるための要件

破産法は、破産手続開始の原因について、こう定めています。

第15条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第30条第1項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

ここで、自己破産を知るための重要なキーワード、「支払不能」が出てきました。債務者は「支払不能」の状態にないと、裁判所から破産決定を受けることができないのです。

支払不能とは?

では、支払不能とはどのような状態を指すのでしょうか。破産法では、債務者が、支払い能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法2条11項)。また、先ほどの条文によれば、支払いを停止したときは支払不能だと推定するんでしたね。

人間の経済活動は、収入、財産、信用で成り立っています。労働や資産運用などによる収入で財産を築いたり、債務の返済ができるという信用を得てカードショッピングや借り入れを起こすことで、日々の生活を送っているわけです。

支払不能とは、これらの収入、財産、信用などによって債務を支払うことができなくなった(または、なりそうな)状態をいいます。

支払い不能の具体例

具体的に例を挙げて考えてみましょう。

ここに、500万円の債務を負っている2人の債権者AとBがいます。Aは月収20万円のサラリーマン。趣味のギャンブルでありとあらゆる貸金業者から借金を重ねており、今月の返済資金30万円が準備できない状況にあります。

一方、Bは月収1000万円の会社社長。都内の豪邸に住み、仕事にも遊びにも全力投球がモットー。今回の500万円の債務も、趣味の海外旅行でカード決済したショッピングの代金です。

この例で、Aは、月収20万円であるにもかかわらず、月の返済額が30万円にのぼってしまいました。おそらくめぼしい財産もないでしょうし、さらに借金ができるような信用もありません。

対して、Bには、500万円の債務を簡単に返済できるような収入も財産も信用もあります。両極端な例を持ち出しましたが、Aは支払不能に陥っているのに対し、Bはそうではありませんよね。

このように、支払不能とは、負債総額の絶対的な大小によって決まるのではなく債務者の返済能力をいろいろな角度から検討して、その返済能力が約定の返済額に比べてどうかで判断されるのです。

支払不能を判断する目安は?

支払不能とは、約定の返済額と返済能力とを比較して判断されますが、この返済能力自体が、収入だけでなく財産や信用などの複合的な要素によって決まってくるものであるため、支払不能かどうかを判断する具体的な数値基準があるわけではありません。

しかし、インターネット上の記事では、「負債総額が年収の1.5~2倍以上であれば支払不能と考えられる」という目安がよく示されています。この数値には根拠があるのか、逆説的に考えてみましょう。

仮に、負債総額を3~5年かけて分割返済できるのであれば、わざわざ自己破産を選ばずとも、任意整理や個人再生によって債務整理ができることになります。そのため、負債総額が3~5年で分割返済できる額を超えている場合には、支払不能の状態にあるといって差し支えなさそうです。

「3~5年で分割返済できる額」と言われてもピンと来ませんので、具体的に計算してみます。国の調査によれば、勤労者世帯の可処分所得(≒手取り収入)に占める消費支出(生活費等)の割合は、平均86%程度なのだそうです(総務省統計局、平成27年11月分家計調査による)。

よって、自由に使えるお金は手取りの14%となります。この14%を全部返済に回したとすると、3年間で返済に充てられるのは月収のたった5か月分相当にしかなりません。意外と小さい金額ですよね。

仮に、負債が年収の1.5倍(18か月分)相当ある場合、これを3年間で分割返済するためには、手取り収入の50パーセントを返済に回さなければならない計算となります。

手取り収入の金額にもよりますが、どんなに切り詰めても月収の半分を返済に回すというのはかなり大変です。となると、負債総額が年収の1.5~2倍という目安はかなり甘めの設定で、年収の1.5倍を下回っていても支払不能と判断される可能性もあると言えそうです。

自己破産の「メリット」

支払不能の判断とは別に、自己破産のメリットについても考えてみます。メリットが利用できなければ、自己破産を行う意味はなくなってしまいます。

個人の自己破産申立てと必ずセットになるのが「免責申立て」です。裁判所が支払不能であると認めて破産手続を開始し、免責が許可された場合、借金が帳消しになるというのが、自己破産のメリットだといえます(ただし、「非免責債権」といって、税金等や損害賠償金、養育費など、免責が許可されても帳消しにならない種類の債務もあります)。

免責についてはこちらの記事で詳しく書いています。
今さら聞けない!自己破産の「免責」とは?

この免責申立てですが、まれに不許可となる場合があります(破産法252条1項各号)。例えば、破産手続で財産を取られたくないからといって財産隠しをしたり、裁判所や破産管財人にウソの説明をしたりといった、いわば破産手続上の態度に基づく不許可事由もありますが、より問題となるのは、以下のような場合です。

  • いわゆる、クレジットカードのショッピング枠の現金化をしたこと
  • ・親戚や知人など、特定の債権者だけに対して弁済を行ったこと
  • ギャンブル・浪費によって借金したこと
  • 身分や所得などの信用状態を偽って、詐欺的に借金したこと

破産申立前にこれらの行為を行っていた場合、原則として免責は不許可となります。

先ほどの例で、Aさんはギャンブルによって500万円の借金をこしらえてしまいましたが、これをどうにかしたいと破産・免責申立てを行ったとしても、破産手続の中で財産を換価されて債権者らに分配されたあとに残った借金について、帳消しの効果は得られません。

明らかな免責不許可事由がある場合には、自己破産のメリットもなくなってしまうのです。つまり、免責が許可されなければ自己破産をやる意味は全くありませんので、他の債務整理も視野に入れて考える必要があるでしょう。

しかし、免責不許可事由があっても、反省具合や借金をした状況によっては、裁量免責と言って免責が許可されることもありますので、免責不許可事由があると絶対に免責が許可されないわけではありません。

借金がゼロにならない!免責不許可事由とは

自己破産するかどうかは弁護士などの専門家とよく話し合って決めるようにしましょう。

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