自己破産すると就職や仕事に影響するのか?
借金の返済がどうにもならずに自己破産を検討している人の中には、自己破産をしてしまうと就職活動に何か悪い影響があるのでは?と心配している人も少ないないでしょう。また、自己破産してしまうと仕事を解雇されてしまうのでは?と不安を抱いている人もいるようです。
今回は自己破産をすると就職活動や仕事にどのような影響があるのかについてまとめていきたいと思います。
自己破産は就職に影響する?
定職に就いてなくて自己破産をした場合は、自己破産後に生活して行くために仕事を探さなければなりません。そこで心配になるのは、「自己破産したことで就職ができないのではないか?」ということでしょう。
結論から言うと、自己破産が就職に影響することはほとんどありません。
履歴書に書く必要はない
履歴書を1度でも書いたことのある人ならご存知だと思いますが、履歴書には賞罰を記入する項目があります。
賞罰の「賞」とは、スポーツの大会での入賞や、絵画のコンクールで賞をもらった経験がある場合はここに記入します。もちろん、地域レベルのものではなく、全国レベルや世界レベルのようにアピール材料となるものを記入します。
では、賞罰の「罰」には何を書くかと言うと、刑事罰を受けた場合に記入します。はっきりとした基準はないようですが、1年以上の懲役、もしくは禁固刑に処された場合、つまり有罪の判決を受けた場合には記入しなければならないようです。
よって、自己破産は刑事罰でもなんでもないので、履歴書に記入する必要はありません。
余談ですが、もし刑事罰があるにも関わらず記入していなかった場合は、経歴詐称となり、懲戒解雇事由となります。
面接で言う必要もない
就職活動をしていると企業に面接に行くことも度々あるかと思います。面接の際に、自己破産したことは隠しておいて良いのでしょうか?それとも言うべきなのでしょうか?
もちろん、自己破産したことを自ら面接官に言う必要はありません。
自己破産は何ら法律に触れるわけでもありませんし、借金で困った場合に行使することができる法律で定められた正当な権利です。また、これはプライベートな問題でもあるため、言う必要はありません。
また、このようなプライベートな問題を面接で聞かれるようなことも基本的にはあり得ないでしょう。
調べられることはあるのか?
履歴書や面接で自ら自己破産したことを書いたり、言ったりしなかったとしても、企業側が調べることもあるのでは?と心配している方もいるでしょう。
基本的に企業側が自己破産の有無など信用情報を調べることはありません。そのため、履歴書に書いたり、面接で自ら言わない限りは自己破産したことを知られることはないでしょう。
しかし、就職を希望している企業が、銀行や消費者金融などの金融系だったり、または親会社が金融系の企業だったり、あとは公務員を希望している場合などには信用情報として自己破産の有無を調べられる可能性があります。
自己破産をすると政府の発行している「官報」という新聞のようなものに名前や住所などが掲載されます。そのため、官報を調べられると自己破産したことはすぐに分かってしまいます。
官報を調べるような企業はほとんどないと思われますが、万が一、調べられた場合は採用されるのは難しいでしょう。
自己破産すると解雇されるのか?
自己破産は就職に影響しないということは分かりました。次に気になるのは、自己破産は解雇の理由になるのか?ということでしょう。
答えは、自己破産は解雇の理由にはなりませんので、会社を辞める必要はありません。
労働基準法の18条の2では以下のように定められています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その倫理を濫用したものとして、無効とする
会社側に解雇するだけの合理的な理由があれば解雇できますよ、ということですね。自己破産は法律で定められた権利ですので、このような合理的な理由には該当しません。
よって、会社が自己破産を理由に解雇することはできないと言えます。
会社に居づらくならない?
もし、自己破産したことが会社や同僚に知られてしまうと、会社で肩身が狭くなる可能性があり、居づらくなるかも知れません。
しかし、自己破産をしたことを裁判所が会社などに通知することはありません。なので、自己破産したことを自らカミングアウトしなければ、会社や同僚にバレることはありません。
状況ややり方によっては、家族にもバレずに自己破産できる可能性もあります。
■自己破産した場合の家族への影響は?家族にバレることはある?
解雇はないが制限される職種がある
自己破産の申立てをして破産開始が決定されると免責を受けるまでの間、就けなくなる職業があります。
資格が制限される職業は、警備員、弁護士、司法書士、公認会計士、生命保険募集員など様々です。自己破産の手続が開始されて免責の許可を待っている間には、このような職業には就くことはできません。
もし、資格が制限される職業に就いていた場合は解雇される可能性もゼロではありませんので、転職も視野に入れる必要があるかも知れません。また、資格が制限されても免責の許可が確定すると、「復権」と言って、資格の制限は解除されます。
とは言っても、わりと珍しい職業が多いので、普通の会社員の場合はあまり影響はないでしょう。