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任意整理を自分ですることは可能でしょうか?

任意整理は自分でできますか?

【質問】
任意整理は自分でできるのでしょうか?

借金を整理したいと考えていますが、なるべく費用は抑えたいと思っているので、自分で行いたいと思っています。そこで疑問ですが、任意整理は自分で行うことは可能なのでしょうか? 自分で行うのであれば他の方法がいいのでしょうか?

【回答】
不可能ではないがおすすめできない

借金の整理をしたいと考えているくらいですから、弁護士等の専門家に依頼をする費用さえも惜しいという経済状態であることは想像にかたくありません。

しかし、結論から申し上げると、例外的な場合を除いては、ご自身で行うというのは大変困難であるといえます。

これは任意整理に限らず、債務整理手続全般についても言えることですが、作業自体が多岐にわたることに加え、その場その場での冷静な判断が求められるものです。これを自分一人で行うというのは、医師に頼らないで病気を治すようなものであるといえますから、決しておすすめはできません。

まずは任意整理の流れを確認

具体的にどのような点がネックとなるのか考えてみるために、まずは任意整理のおおまかな進行をおさらいしておきます。

任意整理を弁護士等に依頼した場合、弁護士等は以下のような流れで貸金業者に対して交渉して行きます。

  • ①債権者に対して受任通知を送る
  • ②債権者に取引履歴を開示させる
  • ③取引履歴をもとに利息の引き直し計算をする
  • ④債務元本の減額や利息のカットを債権者に交渉
  • ⑤何らかの合意に至る(和解)

このように主に5段階の仕事をしています。

これらを自分で行うことで、どのような弊害が生じうるでしょうか。段階ごとにみていきましょう。

①受任通知:依頼しないと督促が止まらない…

①受任通知の段階において弁護士等に依頼することのメリットは、弁護士等からの受任通知が貸金業者に到達した時点で、貸金業者は債務者に督促を直接行うことができなくなるという点にあります。

これは、業界内の申し合わせや自主規制などではなく、貸金業法21条1項9号に定められたれっきとしたルールですので、これを破れば貸金業者に刑事罰や行政罰が科されることになります。

貸金業法21条1項には、他にも違法となる督促行為が列挙されていますので、興味のある方はご参照ください)。

これが、個人で任意整理をするとなると、貸金業法21条1項9号は適用されませんので、任意整理を開始する旨を貸金業者に通知したとしても、貸金業者は今までどおり督促をし続けることができますので、交渉中であっても返済を続けざるを得ない結果となってしまいます。

任意整理ではなく法的整理を自分で行う場合であっても同様で、裁判所に対して法的整理の申立てを行ったことが裁判所から通知されるまでは、督促は止まりません。

②取引履歴の開示:ごまかされてしまうことも…

②取引履歴の開示については、貸金業者には取引履歴の保存(貸金業法19条)、開示(同法19条の2)の義務がある旨規定されていますので、自分自身で取引履歴を取り寄せることは特段困難ではありません。

貸金業者のウェブサイトなどに取引履歴開示の方法が案内されていることも多く、大手の貸金業者であれば電話1本で済む場合もあります。ただし、交渉の前段階だからといって、ご自分で貸金業者と接触することはあまりおすすめできない場合があります。

まず、特に過払金が発生していることが明らかな場合には、言葉は悪いですが、「ごまかされてしまう」可能性があります。取引履歴を開示する前に、貸金業者のほうから「○○万円の過払金が発生していますね」などと、実際の計算結果よりもはるかに少ない金額で和解を持ちかけてくることがあります。

そして、取引履歴の開示が不完全な可能性もあります。会社法や貸金業法の規定によれば、貸金業者には帳簿を少なくとも10年は保管しておく必要があるため、それより昔の取引履歴は廃棄したなどといって開示に応じない貸金業者もあります。

また、取引履歴を都合よく分割するなどして、見かけ上の過払利息を少なくするといったこともありえます。取引履歴の開示を受けたとしても、それがご自身にとって不利なものかどうかを見抜くのは困難です。

③引き直し計算:自分で再現するのは難しい点も…

③引き直し計算については、インターネット上に、弁護士等の専門家が作成した表計算ファイルが数多く公開されていますので、取引履歴が正確に把握できている場合であれば、自分で引き直し計算をすることが可能です。

また、取引履歴が正確に把握できていない場合には、貸金業者との契約書、借入れや返済の都度発行される明細書、ご自身の預金通帳などの資料から、取引履歴が把握できていない部分の取引を推測(再現)する必要があります。

これはあくまで推測にすぎないことから、どれだけ客観的かつ合理的な根拠を示すことができるかがポイントとなりますので、専門家の持つノウハウを利用すべき点だといえます。

④交渉・⑤合意:専門家でなければ交渉は困難…

そして、④交渉と⑤合意については、これは説明するまでもありませんね。専門家に依頼する場合にはここがまさにキモとなる部分ですから、個々の交渉結果や解決までの時間などについてはご自身で行うのとは明らかに差があるといってよいでしょう。

一個人である債務者が貸金業者と交渉するのは、いわばプロ対アマチュアの戦いです。貸金業者としては、できるだけ多くの借金を回収したいですし、過払金が発生する場合にはそれを返したくはないわけです。

先ほど述べたように、取引履歴の開示を請求した時点からつばぜり合いは始まっているのであって、貸金業者の申し出や引き直し計算の結果などに対して、どこかで不用意な合意をしてしまわないとも限りません。

また、専門家であれば、貸金業者の特徴や交渉過程での状況によって、過払金を回収して他社への返済に充てるとか、和解が困難であれば訴訟に切り替えるとかというように、全体を見通して適切に状況判断することが期待できます。

任意整理以外の債務整理は自分で出来るのか?

では、任意整理以外の債務整理はどうでしょうか。

個人再生や自己破産はほぼ不可能

個人再生や自己破産の申立ては、任意整理以上に複雑な手続です。

申立てに際しては、自分の資産や負債などの内容がわかる証拠書類を揃えたうえで、裁判所に対して所定の書式を利用して資産や負債などの内容を詳細かつ正確に報告しなければなりません。これを専門家の助力なく個人で行うのはほぼ不可能といってよいでしょう。

自分でやるなら特定調停を検討すべき

これに比べて、特定調停の申立ては、裁判所を利用した任意整理とも例えられるように、もともと個人でも行えるような制度設計となっています。

そのため手続費用も非常に安価なので、どうしてもご自身で行うことにこだわりたいのであれば、任意整理ではなく特定調停を検討すべきだといえます。

特定調停を申し立てれば、裁判所からその債権者に対して通知(「調停期日呼出状」という書類です)が送られ、その時点で督促が止まるため、先ほどの①で述べた督促が止まらないという問題点は解消できるといえます。

そして、調停委員会には、取引履歴などの必要書類を提出させる権限があるため、②で描いたような取引履歴をごまかされるという問題についても助力が得られます。

③の引き直し計算については、特定調停を申し立てられた貸金業者は、調停委員会に対して、利息制限法に基づいた正確な計算書を提出しなければなりませんので、最低限、法的に正しいといえる借金の残高を知ることができます。

④の交渉については、調停委員会を介して行うため、貸金業者と直接顔を合わせないで済むというメリットはありますが、調停委員会は法的に中立な立場にあるため、極端にこちら側に有利な結論となることまでは期待できません

⑤の合意については、仮に調停期日で合意に至ることができなかったとしても、調停委員会が職権によって決定を出すことができます。

ただし、特定調停にもメリットとデメリットがあるというのは、当サイトの他の記事でもお伝えしてきたとおりです。

特定調停は、債務者が少ないとか返済の見込みが高いとかいう限られたケースでないと使いにくい手続と言えます。実際に申立件数が少ないところをみると、個人で特定調停を利用するのはそれなりにハードルが高いのかもしれませんね。

特定調停を行う場合は慎重に検討する必要があるでしょう。

カテゴリ:よくある質問

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