任意整理をすると保証人に迷惑がかかるのか
【質問】
任意整理したら、保証人に迷惑がかかりますか?
「借金が返せなくなったので、現在、任意整理を考えていますが、保証人つきの借金だと保証人に迷惑がかかるのでしょうか?もしかかるとしたら迷惑をかけずに任意整理する方法はあるのでしょうか?」
【回答】
保証人に迷惑をかけずに任意整理することは可能
現在の借入金について返済が難しくなったので任意整理をお考えとのことですが、保証人を立てているためにその方に迷惑がかからないか心配なのですね。
確かに任意整理をすると保証人に迷惑がかかってしまうことがあります。しかし事の運び次第では迷惑をかけないようにすることも可能です。
どのような場合に迷惑がかかってしまうかをまず押さえ、逆にどうすれば保証人の方に迷惑をかけずに任意整理ができるかお教えします。
こんな場合に保証人に迷惑がかかる!
任意整理で保証人を立てている借入先との折衝をするにあたって、将来利息のカットなどの交渉をすることになるわけですが、そのまま両者の合意が取れれば問題ないのですが、債権者の側が債務者であるあなたの負担を減らすために利息カットには応じるが、なおその分の回収を望む場合は保証人への弁済要求をすることになります。
ですからこの場合、保証人への迷惑をかけたくないのであれば債権者との交渉の中で「保証人への弁済要求もしない旨の合意」を取る必要があります。
実際に合意が取れる可能性は低いと思いますが、もし取れる時は確実性を担保するためにあなたと債権者の他に保証人の方も含めて三者の合意を書面にまとめておくと良いでしょう。
相手方の承諾を得ずに強引に整理手続きを進めてしまうと保証人に弁済要求が行くことになるので注意して下さい。
保証人に迷惑がかからないように任意整理するには
さて迷惑がかかってしまう危険がある事例を検討しましたので、そのようなことにならないためにはどうすれば良いかですが、立ち回り方によっては保証人の方に迷惑がかからないだけでなく、知られることも回避できる方法があります。
任意整理という手法は、整理の対象とする債権者を自由に選べるのでその点を利用します。
つまり、保証人を立てている案件の債権者とは整理交渉をせず、他の債権者とだけ交渉するのです。
通常任意整理は弁護士など専門家を利用しなければ交渉が進まないので依頼することになると思いますが、その際には必ず保証人の有無について聞かれます。
関係を悪化させたくない保証人を立てている案件については任意整理の交渉対象から外したい旨を相談してみて下さい。
ただ借り入れ状況全体を見て、どうしても保証人付きの案件のみ整理対象から除外すると任意整理が成功しないという場合は弁護士等から整理対象に入れるよう助言を受けることもあります。
ごり押しすると任意整理を受任してもらえないことにもなりかねません。 その場合は素直に助言を受け入れて整理対象にするのが良いと思います。
任意整理が成功する見込みがあるならば、自己破産などあなたに負担の大きい選択肢に進んでしまうよりはマシだからです。
他の債務整理法と保証人の関係
任意整理以外の債務整理法では、保証人に迷惑をかけずに借金を整理することが出来るのでしょうか?それぞれ、特定調停、個人再生、自己破産について解説していきます。
特定調停
特定調停を検討する場合、保証人付きの案件を除いて特定調停の申し立てをすることは可能です。 この場合任意整理と同じく、保証人付きの案件は引き続き返済を続けていくことになります。
もし保証人付きの案件を特定調停の対象にする場合、その効果は保証人には及ばないため(救済されないため)保証人は債権者からの弁済要求を受けることになります。
ただし特定調停により債務が圧縮されると、その分保証人の負担も減ることになります。 具体的には債務の元本が削減されると、保証の責任の限度もその削減された額の範囲となります。
個人再生
個人再生の場合は一定の債務が削減されて、債務者であるあなたは残った債務を計画に従って弁済してくことになります。
問題はその削減された債務は債権者にとっては回収できればしたいですから、保証人がいればその分の弁済を保証人に求めることになります。
よって、保証人がいる借金は個人再生の対象から外すことができないので、任意整理や特定調停のような対応はできません。
自己破産
自己破産の場合はもっと深刻で、債務の全額が免除されるわけですから個人再生のように債務の一部のみの負担ではなく、保証人は債務者であるあなたの借金のうち、自分が保証している債務の全額を負担しなければならなくなります。
つまり、自己破産をすると保証人はあなたに代わって借金の返済を債権者から求められることになります。
保証人の立場が危うくなったら
保証人が弁済を求められる事態となった場合、債権者に対して必要な弁済をする責任が生じます。元は納得して保証人を引き受けたとはいえ、引き受けた当時とは自分の財務状態が変わっていることもあります。
例えば保証人の方が失業して、資産状況もかなりひっ迫しているというケースもあるでしょう。 こうした場合はその保証人自体も債務整理の手段を行使しなければならないこともあります。
つまり保証人が負う債務を改めて個別の負債として考え、必要があれば特定調停や個人再生、自己破産などの救済手段の利用を検討する必要が出てくることもあるということです。
保証人をお願いするのは通常家族や親友などなかり親密な間柄の方を設定することがほとんどですので、その方にできるだけ迷惑がかからない選択肢を選びたいところです。
その点で任意整理は有効で、保証人付きの案件を整理対象から外すだけでその目的が達成されますからまずは専門家と相談の上で最初に検討すべき選択肢といえるでしょう。
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