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利息の引き直し計算と和解案の作成について

利息制限法に基づく引き直し計算

任意整理は個人再生や自己破産のような法的手続きではないので借金の大幅な減額は見込めませんが、利息制限法に基づく引き直し計算を行うことで、払い過ぎた利息が見つかる可能性があり、借金が減額する可能性があります。そのため任意整理においてはとても重要な項目です。

任意整理を検討している人の多くは過払いがあると思いますので、今回は引き直し計算について解説していきます。

引き直し計算の目的

引き直し計算の最大の目的は、払い過ぎた利息を明らかにして、借金を減額するためです。そして、和解案を作成するためですね。

2010年に出資法が改正されるまでは多くの貸金業者が利息制限法の制限利息を超える金利、いわゆるグレーゾーンで利息を取っていました。そこで、取引経過の情報を元に過去にさかのぼって利息制限法の金利で利息を計算しなおします。

払い過ぎた利息があれば、元本に充当していくことで借金が減額されます。また、払い過ぎ利息を元本に充当していくと、マイナスになることがあります。この場合は過払い金がありますので、過払い金返還請求を行います。

利息制限法に基づいた引き直し計算によって、残っている借金が正確に出ますので、これを元に貸金業者に提示する和解案を作成します。引き直し計算をやらなければ和解案を作ることができず、交渉することもできません。

そのため、引き直し計算は任意整理の交渉を進めるためにも重要な項目なのです。

和解案の作成

貸金業者から取引経過の開示を受け、これを元に利息制限法に基づく引き直し計算を行い、残りの借金額が確定すると、次は和解案の作成に入ります。この和解案を貸金業者に提示して交渉していきます。

和解案には、「いつから、合計何回にわたって、毎月何日にいくらずつ返済します」という計画を提示して交渉します。

毎月返済する金額の決定

もし、5社の貸金業者を任意整理した場合、この5社に同じ額を均等に毎月支払っていくわけではありません。各業者に残っている借金の額に応じて、支払い額は変わります。これは、債権者平等の原則に基づいてのものですが、借金の残高が多い業者に多く返済して行かなければ、借金が減りませんからね。

各々の業者への返済額は以下のような計算式で出します。

「各業者への返済額」=「債務者の返済原資(月額)」×「当該業者の債権額」/「債務者の総債務額」

また、各業者には最後の取引日以降の利息や損害金はカットするように交渉します。提示する返済額は引き直し計算で算出した元本のみです。

任意整理において分割して返済していく場合、支払い期間は概ね3年、36回払いが基本となります。支払い期間は5年くらいまでは交渉できる可能性がありますが、それ以上になると合意を得るのは難しいでしょう。

返済資源は大丈夫か?

和解案の作成において、返済資源をしっかりと確保することはとても重要です。

返済資源とは、債務者が毎月の返済に充てられるお金のことです。返済は3年間は続いていくわけですから、これが安定していなければ、例え交渉が上手くいったとしても、いつかは返済が滞ることになります。

これを避けるためにも、返済資源にはボーナスの増額や、アルバイトの収入など不確定要素を含まないようにしなければなりません。

和解案に対して業者が注文してくることも・・・

任意整理は裁判所の手続きを利用しないので柔軟に解決できるというメリットがありますが、それ故に貸金業者が自分たちに有利になるような内容を要求してくることもあります。

弁護士や司法書士は債務者に有利になるように交渉をしてくれますので、基本的には任せておけば問題ありませんが、このようなリスクがあることは知っておく必要があるでしょう。

貸金業者が主張してくる可能性があるのは以下のような内容です。

個別に引き直し計算すべき!

引き直し計算は利息制限法に基づいて行いますが、利息制限法の利息は元本の金額によって異なります。そのため、同じ業者から複数の借入れがある場合、個別に引き直し計算するか、まとめて引き直し計算するかで、残りの借金の金額が変わってきます

利息制限法の制限利率

元本10万円未満年20%
元本10万円以上100万円未満年18%
元本100万円以上年15%

例えば、10万円以上100万円未満の取り引きが複数ある場合、個別に引き直し計算すると金利は18%での計算されますが、まとめて引き直し計算すると金利は15%に下がってしまいます。

そのため、貸金業者は金利18%で計算した方が自分たちが有利となるので、個別に計算するように主張してきます。

しかし、2010年に利息制限法が改正された際に新設された5条によって、残りの元本を合計してその額によって利率が決まることが定められたので、個別に引き直し計算するかどうかというのは問題ではなくなりました。

みなし弁済を認めろ!

みなし弁済」とは、本来は利息制限法を超えて支払った利息は無効となりますが、一定の要件を満たせば有効な利息だと認める制度です。2010年に貸金業法が改正されたことで、この制度は廃止されていますので、現在はありません。

みなし弁済が認められるのは、返済する人が利息制限法を超えた利息を任意に支払った場合です。つまり、貸金業者から「利息制限法を超えた利息を払ってくれ」と言われて、利息制限法を超過した利息だと認識しながら利息を支払った場合です。

もっと言うと、債務者が利息と指定して支払う必要があり、ATMで返済などした場合は、支払ったお金が元本に充当されるのか利息に充当されるのかはわかりませんので、みなし弁済は認められません。

これらのことから、利息制限法を超えた利息だけを任意に支払うということは、普通あり得ませんのでみなし弁済が認められるということは、まずないでしょう。

期限の利益喪失を主張してくる

貸金業者は和解案に対して、「期限の利益喪失」を主張してくることもあります。

借入れした金銭は一定期間借りて、決まった期限に返せば自由に使うことができ、期限までは支払う義務はありません。これを「期限の利益」と言い、これを失うことを「期限の利益喪失」と言います。

債務者が過去に遅れて返済したことがあると、貸金業者は期限の利益喪失を主張し、高い利息の遅延損害金を要求してくることがあります。

遅延損害金の要求に対抗する手段はケースによって様々ですが、弁護士や司法書士は遅延損害金は債務者の不利益となり、任意整理における返済計画が困難となってしまうことを理由に、この要求を出来るだけ退けるように交渉していきます。

まとめ

今回は任意整理で借金を減額するために必要な引き直し計算について解説してきました。

引き直し計算で算出した返済額に対して貸金業者が不当な要求をしてくる可能性もありますが、弁護士や司法書士は基本的にこのような要求を拒否するように努め、債務者の利益を守るように動いてくれるでしょう。

もちろん、すべての案件で交渉が上手くとは限りません。それでも、弁護士や司法書士を信じて、まずは相談することが大事です。

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