任意整理の費用は相場は?支払いが困難な場合はどうする?
今回は任意整理にかかる費用の相場を紹介していきます。借金で悩んでいる人の多くは弁護士費用がよく分かっていないため相談を躊躇しているようです。そのため、任意整理にどのくらい費用がかかるかが分かれば、相談にいく際の不安も解消されるでしょう。
また、弁護士費用を支払うのが難しい方のために法テラスの制度を利用することも可能です。費用のこと気にされている方は是非参考にしてください。
弁護士費用には基準がある
任意整理における費用は東京三弁護士会によって統一基準が設けられています。各々の事務所で多少は違いはありますが、大幅に高かったり安かったりするようなことはなく、概ねこの基準をもとに定められています。
主な費用には「着手金」と「報酬金(成功報酬)」があります。
着手金は整理する債権者数によって決まり、依頼した時点で発生する費用のことです。報酬金は債権者数と減額した金額によって決まります。
東京三弁護士会による任意整理の報酬基準
債権者の数 | 着手金 | 報酬金(成功報酬) |
---|---|---|
1~2社 | 5万円 | 1債権者につき2万円と減額に成功した額の10% |
3社以上 | 1社2万円×債権者数 | 同上 |
任意整理を行う中で、過払い金が取り戻せた場合は別途、過払い金の成功報酬が必要となります。任意整理の報酬の中に過払い金の報酬は含まれませんので、この点には注意してください。
任意整理費用の具体的な例
ここではA社、B社、C社の大手消費者金融を任意整理した場合の費用を例に挙げてみていきます。
業者 | 業者の主張した額 | 和解した金額 |
---|---|---|
A社 | 20万円 | 10万円(10万円減) |
B社 | 30万円 | 25万円(5万円減) |
C社 | 40万円 | 消滅時効の援用により0円(40万円減) |
【着手金】
1社2万円×3社=6万円
【成功報酬】
1社2万円×3社=6万円
【減額報酬】
・A社 減額10万円×10%=1万円
・B社 減額5万円×10%=5千円
・C社 減額40万円×10%=4万円
【費用の合計】
着手金6万円+報酬金6万円+減額報酬5万5千円=17万5千円(+消費税)
弁護士費用は分割払いが可能
このように弁護士に任意整理を依頼したことでかかった費用は、依頼者の経済的な更生を妨げないようにするために、分割で支払うのが一般的です。
和解が成立するまでの数ヶ月の間は債権者への支払いが停止するため、返済に充てる予定だったお金を弁護士費用の一部に充てることが出来ます。また、これらのお金を積み立てることにより、支払う方法もあります。
基準はあるものの報酬体系は様々
先ほども少し触れましたが、東京三弁護士会が設けている基準はあるものの、各弁護士事務所によって着手金がなかったり、事務手数料がないなど、微妙に報酬体系に違いがあります。
そのため、相談に行く際にはその弁護士事務所の報酬体系を把握し、自分に合っているかどうかを把握する必要がありでしょう。
報酬体系の一例
例えば、整理する債権者が2社以上になると、1社あたりの料金が半額になる弁護士事務所があります。借金を整理したい債権者の数が多い方はこのような弁護士事務所を利用するとメリットが大きそうですね。
また、CMでも有名な法律事務所では着手金は1社につき4万円ですが、債権者数によって決まる報酬金はなく、減額された金額の10%を成功報酬として支払います。事務手数料もないので、比較的に利用しやすい料金体系となっています。
弁護士費用の支払いが難しい場合は?
支払いが困難な場合は法テラス(日本司法支援センター)の立替金制度を利用することで、弁護士費用を立て替えてもらえます。立て替えてもらった費用は毎月5000円~10000円程度をゆうちょ銀行からの引き落としによって、法テラスに返していきます。
法テラスからは以下の支給基準によって立て替えてが行われます。
債権者数 | 着手金 | 実費 | 報酬金 |
---|---|---|---|
1社 | 31,500円 | 10,000円 | なし |
2社 | 42,000円 | 10,000円 | なし |
3社 | 63,000円 | 20,000円 | なし |
4社 | 84,000円 | 20,000円 | なし |
5社 | 105,000円 | 25,000円 | なし |
6~10社 | 147,000円 | 25,000円 | なし |
11~20社 | 168,000円 | 30,000円 | なし |
21社以上 | 189,000円 | 35,000円 | なし |
上の表から支給されるのは着手金と実費のみで、報酬金に関しては支給されないことが分かります。この点には注意です。
なお、任意整理の難易度によっては支給が増減されることもありますので、上の表はあくまでも支給される額の基準です。
誰でも法テラスを利用できるわけではない
法テラスを利用する際にも審査があり、ある一定条件を満たさなければ審査を通過出来ませんので、条件に自分が合致するかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
法テラスのサイトでは、満たす必要のある条件は以下の3つが紹介されていました。
法テラスを利用するための条件
① 収入等が一定額以下であること
② 勝訴の見込みがないとは言えないこと
和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものは、②に含みます。
③ 民事法律扶助の趣旨に適すること
報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。
①の収入に関する条件は「収入要件」と「資産要件」の2つで、具体的な条件は以下の通りです。
収入要件
家族の人数 | 月収(手取り) | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に 加算できる限度額 |
---|---|---|
単身者 | 182,000円以下 | 41,000円以下 |
2人 | 251,000円以下 | 53,000円以下 |
3人 | 272,000円以下 | 66,000円以下 |
4人 | 299,000円以下 | 71,000円以下 |
家族が4人以上の場合は、1人増加するごとに3万円が増額されます。
資産要件
家族の人数 | 資産の合計額 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
つまり、収入が多すぎたり、資産が多すぎたりする場合は審査に通らないということですね。また、これらは基準となる数字であり、東京などの大都市の場合は物価が考慮されるため、もう少し高く設定されています。
まとめ
今回は任意整理における弁護士費用の相場について見てきました。
「弁護士にかかる費用なんてすぐには払えないだろうし・・・」と諦めてしまっている方もまずは弁護士に相談に行ってみましょう。初回の相談は無料のところがほとんどです。
相談に行けば、様々なアドバイスをして頂けますし、弁護士費用の支払いが難しい場合は法テラスを紹介してくれます。1人で悩んでいても借金は大きくなる一方ですので、まずは相談に行くことが借金問題解決の第一歩です。
カテゴリ:任意整理の基礎知識