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任意整理の引き直し計算で問題になる「一連計算」とは?

一連計算とは?

任意整理では利息制限法に基づく利息の引き直し計算をして借金を減額し、貸金業者に和解の交渉をします。しかし、引き直し計算のやり方について貸金業者から「個別に引き直し計算するべきだ」として、クレームが入ることがあります。

貸金業者はなぜ、このような主張をしてくるのでしょうか?

一連計算だと貸金業者は不利

貸金業者から借りた借金を完済し、その後、また同じ業者からお金を借りるケースはしばしばあるかと思います。

このような場合、1度目に借りた借金と2度目に借りた借金を一体にして引き直し計算(一連計算)するのか、もしくは、1つ1つを個別に引き直し計算(個別計算)するのかで、引き直し計算後の過払い金の金額が変わってくるのです。

基本的に個別計算する方が過払い金は小さくなるので、貸金業者は引き直し計算を個別でするように主張してきます。そのため、この点が引き直し計算を行う上で争点となっているわけですね。

一連計算した場合のメリット

同じ貸金業者からの複数の借金をまとめて一連計算した場合、借主にメリットが発生するのは概ね3パターンほどあります。

①まとめた方が利率が低くなる

同じ貸金業者から、30万円、20万円、60万円を借りたことがある場合、まとめて引き直し計算すると、借金の総額は100万円を超えるので利息制限法の利率は最も低い15%で計算することができます。

個別に計算すれば、利息の利率は3つとも18%で計算することになるので、一連計算した方が過払いとなる利息は大きくなります。

②まとめると利息と遅延損害金も大きくなる

過払い金返還請求をするときに、過払い金に利息(年5%)と遅延損害金(年5%)をつけて請求することができます。この場合にも、一連計算して過払い金が大きい方が利息と遅延損害金も多く請求できるので、借主にメリットがあります。

③まとめると、時効が伸びる

たとえば、同じ貸金業者から30万円、20万円、60万円を借りたことがある場合、30万円借りた最初の取り引きから10年が経過していたとします。

この場合、個別計算だと最初の30万円は過払い金の消滅時効が成立しているので過払い金は戻ってきません。20万円と60万円の2つの取り引きだけ過払い金が返ってくることになります。

しかし、3つをまとめて1つの取り引きだとして一連計算する場合は、最後の60万円の取り引きが基準となるので、60万円の取り引きから10年が経過していなければ、3つ全ての取り引きに対して過払い金を請求することが可能となります。

もちろん、この場合、借金が残っていて任意整理したのであれば、過払い分が元本に充当され、借金が減額されることになります。

個別に基本契約があるかないかが鍵

クレジットカードでもカードローンでも、申し込んでカードが発行される時に、限度額が決められ、その範囲の中で何度も借りたり返したりを繰り返す、リボ払い契約の契約をします。そのため、ここで言う「基本契約」とは、同じ貸金業者から継続的に借入れと返済を繰り返すことを予定した契約です。

基本契約が1つの場合

基本契約が1つで借入れと返済を繰り返していた場合は、1つの取り引きとして、一連計算によって引き直し計算されます。

これは、平成19年6月7日の最高裁の判決で、「基本契約に基づく場合は充当に関する合意がある」としており、1つの基本契約に基づく取り引きである限り、取り引きに空白の期間があったとしても、一連計算できると判断しました。

基本契約が複数ある場合

これは取り引きごとに基本契約が交わされている場合です。一連計算が可能かどうか問題となるのは、基本的にこのパターンだと言えます。

平成20年1月18日の最高裁の判決では、基本契約が複数ある場合は以下のような事情を考慮して評価するとしています。

①第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さ

②第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間

③第1の基本契約についての契約書の返還の有無

④借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無

⑤第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況

⑥第2の基本契約が締結されるに至る経緯

⑦第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同

つまり、どのような場合に一連計算ができて、どのような場合にはできないのかという、具体的は基準は示されていないということです。

よって、完済したのに契約書が返還されていない場合や1つ目と2つ目の基本契約が同じだった場合などは一連計算が出来る可能性はあります。

まとめ

今回は任意整理で引き直し計算をしたときに、貸金業者からクレームが入る可能性のある一連計算について書いてきました。

正直、任意整理を検討している人がここまで知っている必要はないと思いますね。こんなこともあるんだという程度でいいでしょう。

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