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任意整理と特定調停を比較!その違いとは?

任意整理と特定調停の違い

借金でお困りの方の中には、任意整理を行うか、または特定調停を行うべきかでお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、特定調停と任意整理を比較して、この2つは何がどのように違うのか、そして、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて見ていきたいと思います。

まずは特定調停がどのような手続きなのか解説していきます。

特定調停とは?

特定調停とは、裁判所を利用した債務整理の手続きの1つで、このままでは借金の支払いが出来なくなる可能性の人や法人を対象として、経済的な更生を目的としています。任意整理では貸金業者と債務者の間に弁護士や司法書士などの代理人が入り交渉しますが、特定調停では弁護士ではなく簡易裁判所が間に入り、借金を整理していきます。

任意整理と同様に取引経過を貸金業者に開示してもらってから、利息制限法に基づいて引き直し計算を行い、減額された借金を返済していきますので、裁判所の手続きを利用する任意整理と言うとイメージしやすいかも知れません。

また任意整理と同様に借金がゼロになるわけではなく借金を返済していくことが前提ですので、3年程度で返済できるような資金があるかどうかが問われます。

特定調停では弁護士や司法書士の代理人を立てませんので、手続きは全て自分で行うのが大きな特徴となっています。

特定調停の手続きの手順

特定調停の手続きは各簡易裁判所によって多少異なりますが、概ね以下のような手順となっています。

①申立て

②第1回期日

③第2回期日以降

④調停成立

申立ては自分でする

前述の通り、特定調停では弁護士や司法書士といった代理人を立てません。そのため、特定調停を開始するためには自分で簡易裁判所に申立てを行います。

ここで注意点ですが、申立ては貸金業者の所在地を管轄する簡易裁判所に行わなければなりません。複数の貸金業者がバラバラの住所だった場合、基本的にはそれぞれ別々の簡易裁判所に申立てをしなければなりませんが、1ヶ所の簡易裁判所で取り扱える場合もあるので、分からない場合は簡易裁判所に問い合わせてください。

申立てに必要な書類は以下の3種類です。

申立書
申立書には、自分の氏名や住所、貸金業者の情報、申立ての趣旨などを記入します。

調査票
特定調停を行える条件を満たしていることを証明する書類です。どのくらい収入があって、どのくらいの支出があるのか、そして毎月の返済可能額はいくらかなどを記入します。

相手方一覧表
特定調停では借金を整理する対象の貸金業者を相手方と言います。どこの業者からいつ、いくら借りて、どのくらい借金が残っているかを記入します。

必要な書類はいづれも各簡易裁判所に備え付けてあり、ホームページでもダウンロード可能となっています。

■東京簡易裁判所の書類は以下のページでダウンロードできます。
http://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/l4/Vcms4_00000346.html

書式にしたがって記入していけば、法律の知識がなくても大丈夫でしょう。

第1~2回期日以降

一番最初の第1回期日は申立てをした人(債務者)だけが出席して、借金の状況や返済できるかどうかなどを聞かれます。この後に簡易裁判所は貸金業者に向けて、取引経過の開示を要求していきます。

第2回目以降は貸金業者から送られてきた取引経過を用いて、利息制限法に基づいて引き直し計算を行い、返済の計画を立てていきます。

調停が成立する

特定調停においても任意整理と同様に貸金業者の合意が必要となります。裁判所が作成した返済計画に合意が得られれば調停成立です。

もし、地理的な理由などで債務者や貸金業者(またはどちらも)が簡易裁判所に来れない場合でも、書面だけで調停は成立できます。

特定調停のメリット

任意整理のメリットと被る部分も多いですが、特定調停にも多数のメリットがあります。

メリット①:弁護士費用がかからない

特定調停の最大のメリットは費用が押さえられる点です。弁護士や司法書士などの代理人を立てずに自分で申立てを行いますので、弁護士費用がかかりません。そのため、費用を抑えて借金を整理したい人む向いています。

メリット②:取り立て、差押えが止まる

簡易裁判所に特定調停を申立てすると、貸金業者にはその旨の通知が届きます。これにより、貸金業者は取り立てを行うことができなくなります。

また、特定調停では給料の差押えなどの民事執行手続きを停止することもできます。

しかし、任意整理において取り立てを止める効力のある受任通知よりも時間がかかることがあるので、この点がデメリットになることがあるようです。

メリット③:借金の理由が問われない

自己破産では免責が認められない借金の理由として、浪費やギャンブルなどがありますが、特定調停では借金の理由は問われません。

また、自己破産では特定の職業に就けないといった資格の制限がありますが、特定調停には資格の制限もありません

この2点に関しては任意整理においても同じことが言えますね。

メリット④:整理する貸金業者を選べる

個人再生や自己破産と言った裁判所を利用する債務整理は整理する貸金業者を選ぶことが出来ず、全ての業者を対象としなければなりません。しかし、特定調停では任意整理と同じように整理の対象とする貸金業者を選ぶことができます。

そのため、車や住宅のローンがある方にとってはメリットが大きいですね。

特定調停のデメリット

次は特定調停のデメリットについて紹介していきましょう。

デメリット①:自分で手続きをする必要がある

特定調停では自分で手続きが出来るため、弁護士費用がかからないというのが最大のメリットであると先ほど説明しました。しかし、自分で簡易裁判所に申立ての手続きを行い、話し合いをするために簡易裁判所に出廷もしなければならないのは容易ではないでしょう。

これらの不慣れな手続きを自分で行わなければならないのはデメリットだと言えます。

デメリット②:引き直し計算が正確ではない可能性

特定調停では貸金業者から提出された取引経過に基づいて、弁護士ではなく裁判所が指定した調停委員が引き直し計算が行います。

調停委員とは特定調停法8条に以下のように規定されています。

裁判所は、特定調停を行う調停委員会を組織する民事調停委員として、事案の性質におうじて必要な法律、税務、金融、企業の財務、資産の評価等に関する専門的な知識経験を有する者を指定するものとする

このように調停委員は弁護士などの専門的な知識を持った有識者が選任されますが、弁護士が選ばれないこともあるようです。

弁護士の場合であれば、取引経過に間違いがないのか、全ての取り引きが記載されているのかを債権者に聴取しながら徹底的にに調べるでしょう。しかし、調停委員が弁護士でない場合は、取引経過に誤りがあったとしても、そのまま引き直し計算される可能性があるようです。

デメリット③:過払い金の請求ができない

調停委員が引き直し計算を行った結果、利息を払いすぎていたため過払い金があったとしても、特定調停の手続きの中で過払い金の返還請求ができません。理由としては、過払い金返還請求は特定調停の目的を超えると裁判所が考えているためです。

この場合、別途、弁護士や司法書士に依頼して過払い金返還請求を行う必要があります。

デメリット②と同様にこの点も弁護士に借金整理を依頼しないデメリットだと言えますね。また、任意整理では将来利息については基本的にカットしてもらうように交渉しますが、特定調停では将来利息がついたままの額で合意している例もあるようです。

デメリット④:強制執行が可能となる

特定調停では相手方(貸金業者)と合意した場合、調停調書というものを作成します。調停調書は判決と同じ効力がありますので、もし、計画通りに返済できなかった場合には、給料の差押えなどの強制執行が可能となります。

任意整理との違い

任意整理と特定調停は裁判所の手続きを利用するかしないかという違いはあるものの、似ている点も多いようですね。

特定調停では裁判所に提出する書類を自分で作成したり、裁判所に出廷したりと煩わしい部分が多いと言えます。一方、任意整理では裁判所の手続きは利用せずに交渉し、交渉は弁護士や司法書士にお任せする形となりますので、弁護士費用はかかるものの、特定調停よりもハードルは低いと言えます。

特定調停の申立てを行うと、貸金業者からの取り立てが止まります。取り立てが止まる点は任意整理と同じですが、特定調停では目的を阻害しているとして、差押えなどの強制執行の停止が認められるケースも多いようです。

返済が困難となった場合、任意整理では貸金業者から一括での返済が請求されますが、給料を差押えされることはありません。しかし、特定調停では給料を差押えられるなど、強制力を持った手続きがとられます。この点は注意が必要です。

まとめ

今回は任意整理と特定調停を比較してみました。この2つは非常に似ている部分の多い手続きでしたが、どちらを選ぶかは慎重に検討しなければなりません。

弁護士費用を節約したいからと言って安易に特定調停を選んでしまうと、最悪の場合、調停が成立しないこともありえます。こうなってしまうと、本当に時間や労力が無駄となってしまいます。

本当に特定調停が適切なのか、それとも任意整理が良いのか、はたまた個人再生や自己破産が適切な方法なのかをしっかりと検討するためにも、まずは弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

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