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任意整理ではとっても大事!取引経過の開示とは?

取引経過の開示とは

任意整理を依頼された弁護士や司法書士は受任通知と同時に「取引経過の開示」を要求します。この取引経過の情報は任意整理においてとても重要な役割りを果たしており、これがなければ任意整理は始まりません。取引経過にはどのような意味があるのでしょうか?

今回は取引経過の開示を要求する意味や、業者が要求に応じなかった場合はどうなるのか、について解説していきます。

取引経過とは?

取引経過の開示要求は弁護士や司法書士が受任通知を貸金業者に送る際に同時に要求します。受任通知と一緒に取引経過を記入する債権調査票を同封して、記入が終わったら送り返してもらいます。

取引経過は取引履歴と言ったりもしますが、債務者にどのくらい借金があって、どのくらい返しているのかを貸金業者に時系列でまとめてもらって、借金の全体像を明確にします。

記入してもらう具体的な項目は以下の通りです。
・取り引きの日時
・金額
・約定利率
・返済金
・貸付残高

任意整理は現在の借金の状況が明確に分からなければ、全く前進しませんので、取引経過を開示してもらうことはとても重要です。

取引経過の開示を要求する理由

取引経過の開示を要求する最大の理由は、利息制限法に基づく利息の引き直し計算を行うためです。任意整理では利息の引き直し計算ぐらいでしか借金の減額が期待できません。利息の引き直し計算が出来なければ、任意整理をやる意味は半減してしまうでしょう。

利息の引き直し計算とは?

取引経過の開示は利息の引き直し計算をするために要求すると説明しましたが、そもそも利息の引き直し計算とは何なのでしょうか?

借金を返しては借りて返しては借りてと、長い間繰り返している場合、利息制限法の上限20%を超過して金利を支払っている可能性があります。つまり、グレーゾーン金利で返済している可能性があるということですね。

引き直し計算では貸金業者から記入してもらった取引経過をもとに、利息制限法の適切な金利で利息を計算し直して、どのくらい利息を払い過ぎたのかを算出します。払い過ぎた利息は元本に充当しますので、元本が減額されます。

大幅に払い過ぎている場合、払い過ぎた利息を元本に充当していくと、元本がゼロになることがあります。これは借金の支払いが終わっていることを意味します。さらに、元本がマイナスとなった場合は過払い金となりますので、返還請求をすることができます。

借りた人は履歴を持っていないことがほどんど

利息の引き直し計算のために取引経過の情報は重要ですが、借りた人のほとんどは取引経過を証明するものを持っていません。なぜならば、ATMで取り引きをすることが多いためです。

貸金業者から借入れしたり、借りたお金を返済する際はATMを利用することがほとんどでしょう。ATMから借入れや返済を行った場合、レシートのような小さなご利用明細が出てくるかも知れませんが、これを全て大事にとっておく人はほぼいません

そのため、取引経過の開示を貸金業者に要求して、取り引き時期や金額を明確にする必要があります。

業者が要求に応じないことも

取引経過の開示を要求すると、1ヶ月前後で情報を開示する業者が多いですが、全ての業者が素直に応じるとは限りません。

過払い金がある場合など、貸金業者は利益が減ってしまうことを恐れて、取引経過の開示を拒否することがあります。また、開示はするものの、都合が悪い部分は開示せずに一部だけを開示することもあるでしょう。

取引経過を開示しない業者は、過去10年分しか資料がない、完済から3年以上経過した取り引きに関しては開示義務がないなどと主張し、要求を拒もうとします。

しかし、取引経過の開示は貸金業者の義務なので拒否することは出来ません。

取引経過の開示は義務

取引経過の開示が義務なのかどうかについては、地方裁判所によって判断が分かれていましたが、2005年に最高裁が下記のように判決を下しています。

「貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随業務として、信義則上、保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」

これにより、貸金業法が取引経過の開示に応じることは義務だということが明らかになりました。開示を拒否すれば違法行為となりますので、慰謝料を請求することも可能です。

最高裁がこのような判決をしたことで、これ以降は開示の要求を拒む業者は激減しています。それでも、この判決の意義をよく分かっておらず、拒否している業者も多少いるようです。

要求に応じない場合は法的手段も

取引経過の要求に応じない場合は、まず電話やFAXにて繰り返し開示を要求します。これで開示してもらえれば良いですが、それでも応じない場合は国から行政指導をしてもらうように申告します。

行政指導を申告することによって、行政指導にも応じなかったという事実ができますので、その後、慰謝料を請求する場合に業者の悪質性を主張することが可能となります。

最終的には訴訟を起こし、文章提出命令などの方法で取引経過の開示を要求することになるでしょう。

まとめ

今回解説してきた取引経過の開示は任意整理において生命線と言っても良いくらい大事な部分ですので、弁護士や司法書士に依頼する方は出来るだけ、取り引きの詳細を伝えるように協力することが大切です。

また、2010年に出資法が改正され、上限金利が利息制限法と同じ20%まで引き下げられたことで、現在はグレーゾーン金利というものは存在しません。なので、現在では取引経過の開示はあまり意味がないように思われるかも知れません。

しかし、改正以前に利息制限法を超過した利息で借入れがある場合は、利息の引き直し計算を行うことで借金が減額される可能性が十分にありますので、取引経過の開示要求は重要だと言えます。

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