任意整理を依頼する時に書く「委任契約書」には要注意!
任意整理を弁護士に依頼する際に委任契約書というものを交わします。委任契約書には弁護士に依頼する内容や弁護士し支払う費用などが記載されています。委任契約書は必ず取り交わすものですが、注意点がいくつかありますので、紹介したいと思います。
まずは、委任契約書がどういった内容なのかを詳しくみていきます。
委任契約書の内容
冒頭でも説明したように、委任契約書に書かれている内容は大きく分けると、「弁護士に依頼する内容」と「弁護士に支払う費用」の2点です。弁護士はこの委任契約書によって委任されなければ、動くことができませんので、とても重要な書類となります。
委任契約書は同じものを2通作って、1通は依頼者が保管し、もう1通は弁護士が保管します
委任契約書に記載する詳しい内容
■何を委任するのか
任意整理の場合は任意整理を委任し、弁護士はこれを受任、受託した旨を書きます。
>■弁護士の報酬
①着手金
・1業者あたりの金額(21,000円)×債権者数
②報酬金
着手金と同じなのか、それとも債権者主張の元金と和解金の差額の10.5%相当なのか、また、過払い金の返還を受けた場合はどうなるのかも記載しておきます。
報酬に関しては、一般的な貸金業者なのか、高利業者なのか、それとも商工ローン業者なのかで報酬が変わる場合があるため、それぞれの金額を示しておきます。
■分割弁済金代理送金手数料
貸金業者に支払う返済金を弁護士を通して支払う場合の手数料です。これは金融機関の手数料も込みで、1件につき一律1,000円が相場です。
■日当
訴えられた場合の対応(応訴)に1回いくらかかかるかです。
■実費
交通費、通信費、予納金、コピー代等の実費はかかった費用を弁護士が受け取れることが記載されます。
■貸金業者を訴える場合など
貸金業者に対して訴訟を起こしたり、差押えに対抗する場合は別事件とすることが記載されます。
■支払い方法
弁護士報酬を一括で支払うのか、それとも分割で支払うのか、いつまでに支払うのかが記載されます。報酬金の支払い方は弁護士によって異なるので、確認しておきましょう。
■報酬を支払わない場合
依頼者が弁護士報酬や分割弁済金などを支払わない場合に、どのように対処するかが記載されます。
■契約の解除事項
どのような場合に弁護士が辞任するかが記載されます。
■弁護士報酬を全額請求する場合
依頼者が勝手なことをした場合は弁護士報酬を全額請求しますよという内容が記載されます。
■期限の利益を喪失する場合
分割払いの弁護士報酬を予定通りに支払わずに、催告も無視すると一括で残りの弁護士報酬を支払うなどの内容が記載されます。
■署名
依頼者と弁護士の名前や住所などを書きます。
実費の内容は要確認!
委任契約書を交わす際は、実費が何なのかをしっかりと確認しておきましょう。実費が不透明である場合、後から揉める可能性がありますので注意が必要です。
概ね実費というのは以下の3つを指しているようです。
- 旅費交通費
- 日当
- 郵券(切手)・印紙代
旅費交通費はその名の通り、バスや電車、タクシーで移動したり、ホテルに宿泊した場合の費用です。1つ1つを細かく計算する弁護士も入れば、一律で計算する弁護士もいるので、この点を依頼する弁護士に確認しておきましょう。
日当は弁護士が裁判所や調停など事務所を離れる際に発生する費用です。基準は半日で3万円~5万円、1日で8万円~10万円です。
郵券とは切手のことで、任意整理の場合は貸金業者に書類を送る際に使用します。
委任契約書を交わす際の注意点
委任契約書を交わす際に注意すべき点がいくつかあります。世の中には良い弁護士がほとんどだと思いますが、そうではない弁護士もいるのが事実なのです。
委任事項があるか確認
委任事項とは依頼者が弁護士に何を委任するのかということです。任意整理の場合だと、任意整理を委任することを記述します。
しかし、極稀に委任事項が書かれていないことがあるそうです。委任事項が書かれていないことが、そんなに問題なのか?と思われるかも知れませんが、これはけっこう大変なことなのです。
委任事項が白紙ということは後から弁護士が都合の良いように書くことが出来ます。そうなると、任意整理を委任していたのに、「交通事故に関する一切の件」などというように書かれてしまうと、予定よりもはるかに高い弁護士費用を請求される可能性もあります。
委任事項の記載があるか必ずチェックするようにしましょう。
捨印には気をつける!
まず、捨印とは何かご存知でしょうか?ウィキペディアには下記のように説明されています。
契約書、申込書、証書などを作成する場合において、記載の誤りを訂正する際の訂正印の捺印に代えて、当該書類の欄外に捺印する行為、または、その捺印された印影である。
書類を交換・提出した後に、相手方が訂正することをあらかじめ承認する意思を表明するものとして扱われる。書類の書式によっては、あらかじめ捨印欄を用意しておき、そこに捺印するものもある。
つまり、捨印を押すということは、その後に委任契約書が訂正されることを承認していると言えるのです。
そのため、委任契約書に捨印があると、弁護士は依頼者に確認することなく、自分の都合の良いように内容を変更することができてしまいます。これによって、トラブルになったとしても、委任契約書が正しいということで何も文句が言えない状況になってしまいます。
基本的に委任契約書に捨印はしないように気をつけましょう。もし、弁護士から捨印を求められたら、変更内容を事前に確認するように要求することが必要です。
まとめ
今回は任意整理を依頼する際に必ず交わす必要のある委任契約書について書いてきました。
委任契約書の内容をしっかりと理解し契約を交わさなければ、後にトラブルに発展する可能性の高いものですので、今回挙げた2点には十分に注意するようにしてください。
カテゴリ:借金に関する基礎知識